サービスデザイン方法論 第1回 エスノグラフィ 2014年05月10日

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今年も開催されたHCD-Netのサービスデザイン方法論に参加してきました、
昨年に引き続きの参加となります。

初回は安藤先生のエスノグラフィです。

チームはAチームということで、
藤川さん、福原さん、田代さん、永井さん、久保田さんと僕の6人チームでした。




講義

▼エスノグラフィの概要


▼自己紹介
 15秒でその日驚いたこと、気づいたことを紹介。
 
▼エスノグラフィ
 →民俗誌・民俗誌学
  ※簡単に言えば本

▼本来の民俗誌学とは
 エスノグラフィとは、フィールドワークに基づいて人間社会の現象の
 質的説明を表現する記述の一種。

 ・文化人類学、社会学の研究方法
  外国や原始文化の人々の視点で、
  彼らの文化を理解するための手法として1800年代に開発

 ・参与観察を行い、研究者自ら対象の社会を体験する点が特徴

 ・エスノグラフィとは元々、研究者が対象社会を記述したもののこと

 ※フィールドワークに基づいて人々の生活世界の体系的記述がなされたもの
  方法論ではない。

 ※参与観察ということが大事

▼応用としてのエスノグラフィ
 デザイン分野では応用として、フィールドワークにより
 ユーザー体験を把握する方法に注目が集まっている。

 ・ビジネス分野で応用が進展
  需要創造型値の製品開発の手法として
  米国の成功事例を背景に、国内でも徐々に採用企業が増加。

 ・イノベーションの技法として
  デザイン思考の技法の一つとしてとらえられ、
  イノベーションにつながる方法の一つとして期待されている。

 ※不確実性の高いビジネス環境において
  機会探索・仮説発見型のアプローチとして期待高

▼"イノベーション"イメージの変化
 イノベーションはより身近なもの、より体験価値に共感するものへと変化している。

 技術がリードし新しい行動や習慣・価値観が生まれる
            ↓
 先進的な行動や習慣・価値観を技術によって広める

 例:ジェルネイル

 ※イノベーションのヒントはプライベートな
  人の行為や価値観の中にある

▼人間中心デザインプロセス ISO9241-210
 エスノグラフィはHCDでは主に「調べる」と「確かめる」のフェーズとして適用。

▼エスノグラフィの全体像
 エスノグラフィには決まったやり方はない。

 HCDでのエスノグラフィでは多くのヒトとコラボレーションしながら、
 モデリングを行い、ソリューションは提案に結びつける。

▼応用エスノグラフィの主な適用目的
 応用エスノグラフィがよく適用される目的は2つある。
 目的が違うと調査の観点が異なってくる点に注意。

 主に新しいコンセプトの開発が目的
  ・生活の中でどんなニーズがあるのか。
  ・普段の生活でどんなことを行っているのか
   どんな商品なら受け入れられそうか。
  →主に行為を通した生活価値観に着目

 主に改善や最適化が目的
  ・現場の作法や方法論に製品を適合させる
  ・作業方法などを最適化・効率化したものに改善する
  →主に現場での行為に着目(行動観察)

▼コンセプト開発に期待されるエスノグラフィの役割
 
 エスノグラフィをやるとなにが変わるのか
 
 例:プレミアムモルツ

  もともとは「モルツ スーパープレミアム」だった。
  →金曜日はプレモルの日
  →ご褒美感
  →意味の転換=シーン

 例:プレミアムロールケーキ
  
  テスト時は「生クリーム仕立てのロールケーキ」で全然売れなかった。
  
 例:ドトールコーヒー

  エクセシオール・カフェ(フランスをイメージした高級店)
  →スタバの進出にあわせて、エクセシオール・カフェに展開した。(意味の展開)

▼エスノグラフィによるユーザーインサイトの発見
 コンセプト開発では、個別の差異よりも対象の人々に共通する
 生活価値やニーズの分析・理解が目的となる。 

 多くのユーザーの"最大公約数"としての生活価値・ニーズの発見
 
▼従来型のマーケティング・リサーチとの違い
 反応する代表制や量を測るのではなく、生活者全体に共通する普遍的な心理や行為、
 環境の構造を取り出すことがエスノグラフィのアプローチである

 マーケティングリサーチ
  →垂直型顧客理解

 エスノグラフィ調査
  →水平型顧客理解
   ※漠然と広く行うと薄いデータになってしまう。

 ※アクセスログを分析してHCDをやっていますというヒトが増えた。

▼生活世界におけるニーズ
 潜在的ニーズは、文化的理想と実践のギャップを探ると共に、
 日常の実践に潜む本質的ニーズを発見すること

 生活の中で意味を持たない
 モノや行為は存在しえない
      ↓
 生活や状況の中に意味が埋め込まれている
 ※だからエスノグラフィをやる!

▼エスノグラフィの実践で重要な理解とポイント
 
 1.生活や状況の中に"埋め込まれた意味"を探る

  例:ソフラン
   
   ・安藤先生のお母さんは柔軟剤全般を全部ソフランと呼ぶ。
   ・柔軟剤は2回目のすすぎのときに入れると教わっていた
   ・柔軟剤投入口というものがあったが知らなかった。
   
    お母さんのメンタルモデルではソフランはふんわりコーティング材
    だからすすぎの前にいれるようにしていた。

  ・社会構築主義
  
   人々は思い込みの世界に生きている
   Reality Remade  
 
   エスノグラフィでは
   人々の生活の中に埋め込まれた
   モノや行為の意味を解釈する。

 2.対象者やデータの比較により価値観をより際立たせる

 ▼秘密のケンミンSHOW
  エスノグラフィは、異なる群との比較により、
  違いや共通項を際立たせていくアプローチ。
  異なるデータを得ることでより理解を深められる。

 ▼対象者の選択
  平均像のユーザだけでなく、エクストリームユーザを対象にするとヒントを得やすい。

  ※異なる群のユーザの比較により、製品の意味・価値を
   深く理解することで、新価値の発見のヒントが得られる。

 ▼異なるタイプのエクストリームユーザー
  調査の目的に応じて、どのようなタイプのエクストリームユーザを
  調査すればよいか検討する。

タイプ
エクストリームなニーズカーナビ開発のために、パイロットを対象に調査
エクストリームな使い方歯磨き粉の開発のために、
歯磨き粉なしで磨いている人を対象に調査
エクストリームな環境 BOPマーケットのために、不利な環境に住む人を対象に調査


 ▼実際調査での調査計画の例
  自動車のインパネのUIデザインコンセプトを策定するために実施した
  エスノグラフィ調査での構成例。
 
  1回目:一般ドライバー調査
  2回目:リードユーザー調査

 3.行為の観察だけでなく
  その背景や考え方も把握する。

 例:安藤先生のお母さんが天橋立に行ったときの写真
   安藤母の真ん中率高し
   安藤父の端っこ率高し

   なぜ?
    →安藤先生のお母さんは写真撮影時にもたつくのがイヤなので、
     中心にいって回りのヒトを呼び込む役目を行っていたので、
     必然と中心となった。

  集合写真を撮るという行為の中にも
  意味や価値観が反映されていることがわかる。

  ※観察だけで上手くいかない場合はインタビューを行う。

 ▼「観察」と「インタビュー」の相補関係
  観察とインタビューは相補の関係にある。
  繰り返し行うことでより深い理解につながる。

  外から観る
   ・観察法
   ・キャプション法

  内から観る
   ・インタビュー
   ・フォトエッセイ
   ・脳内マップ

  ※見れば見るほと見えてくる  ~to see more to see~

 4. 現場を観る際は
  "問い"を立てて観る

 ▼観察の心構え
  多様なユーザの行動を観察するには、基礎知識の理解とそれなりの練習が必要。

よくある戸惑いや誤り  観察の4つのおきて
どこを見たらいいかわからない "問い"を立て、観察の焦点化を行う。
観察を重ねるごとに、焦点の精緻化を行う
どれくらい詳細に見たらいいか
わからない
自分が考えた仮説を検証しようと
見てしまう
予め"仮説"や"予見"、"思い込み"をもってフィールドに臨まない
知っている技術や製品が適応
できるかどうか考えてしまう
ユーザを観る。ユーザ中心に観る
今起こっていることの意味を
その場で解釈しようとしてしまう
フィールドでは、記録に徹する。
解釈は帰ってから行うつもりで観る

 
 5.調査で得られた情報は分析して"モデリング"する
  
 ▼ユーザーモデリングの3階層
  属性層→行為層→価値層

 ▼ユーザ調査の各手法と分析との関係

ユーザ調査の代表的な手法  ユーザモデリングの3階層主なUXD手法
属性・セグメンテーション
  アンケート
  インタビュー/グルイン
属性層ペルソナ
行為や文脈の理解
  エスノグラフィ
  コンテキストインタビュー
  行動観察
行為層ファクトイド/KJ法
問題シナリオ
CJM(as-is)
ワークモデル分析
価値観・インサイトの理解
  デプスインタビュー
  フォトエッセイ
価値層 上位下位分析
KA法

ワークショップ


 観察のテーマは「ショッピング体験」ということでしたが、
 とりあえず、何を中心に観るべきかを議論するが、
 結論がでなかったので、
 ご飯食べながら議論することに。









 イオンの中をフラフラし、
 テーマを「イオンで食事を取っているひと」として、
 「フードコート」と「レストラン」に分かれて観察を行いました。





 「問いをもって」フィールドワークを行うというところが難しかったです。

 14時まえに楽天本社に帰社し、
 KAカードの作成とKA法を実施しました。


KA法


 KA法は、調査結果それぞれの事実の背後にある"ユーザーにとっての価値"を抽出。

 例:かっこいい価値はNG
   かっこいいものを見せびらかす価値ならOK

 ・心の声を価値にする。心の声を大事にして"価値"を書く。
 ・出来事に複数の要素が入るときは自分達のテーマに沿ったものを書く
 ・多少長くても大丈夫、KJ法を行うときにある程度抽象化される。
  (抽象度を高くしすぎない)
 ・未充足を観察することは難しい。
 ・分からないことがわかることもエスノグラフィ
  分からなければ再調査すればいい。
 ・どうやって"問い"をコントロールするか。


■価値マップ作成
















 


まとめ

 エスノグラフィは、ユーザの生活に埋め込まれた意味を見出し、
 解釈するための作業

 「観察」と「インタビュー」を組み合わせた調査と分析を繰り返すことで、
 ユーザの生活世界がどんどん観えてくる

 エスノグラフィは調査するのが難しいが、KA法は上手く処理できる。
 一番ダメなのは調査しっぱなしが一番だめ

 大事なことは、この作業を通してユーザの生活価値に共感すること。
 そしてそこからデザインを生み出すこと。


懇親会

 懇親会は青物横丁の「てけてけ」にて。
 3500円飲み放題の割には料理がたくさんでてきてお得でした。








 

■HCD-Net サービスデザイン教育セミナー
 第1回 05月10日(土)エスノグラフィ?
 第2回 06月07日(土)カスタマージャーニーマップ
 第3回 07月12日(土)発想法
 第4回 09月13日(土)ユーザーインタビューと要求抽出
 第5回 10月11日(土)構造化シナリオ法
 第6回 11月15日(土)ペーパープロトタイピング

 

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