HCD-Net「2011年度 HCD研究発表会」2011年12月08日

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12月8日に、
文京区のシビックセンターで実施された、
HCD-Net「2011年度 HCD研究発表会」に参加してきました。

発表会は、
「研究発表セッション」と「ポスターセッション」に分かれていて、
ポスターセッションには、おっきなお友達(hcdvalue)が参加していたので、
応援してきました。

プレゼンが早すぎたり、資料の字が小さすぎて見えなかったりして、
全部の内容は追えなかったので、
興味の深かったものだけメモとして残しておこうかと思います。


研究発表セッション

「デザインパターンを活用したユーザーエクスペリエンスデザインのアプローチ」

 山崎 和彦氏(千葉工業大学)
R9140174


■はじめに

▼背景
 ・これまでの人間中心設計は、欧米を中心に提案され、多様な分野で活用が進められている。
 ・そこで提案された手法やアプローチは欧米の中間層や富裕層を考慮したアプローチ
 ・欧米以外の地域、文化や貧困そうなどに必ずしも適しているわけではない。

▼目的
 文化性や地域性を考慮した人間中心設計のアプローチに、
 デザインパターンを活用する方法について提案する。

 1. 文化性や地域性を考慮した人間中心設計へ、デザインパターンの活用の可能性を検討
      ↓
 2. デザインパターンを活用した簡単なワークショップで活用の可能性を検討
      ↓
 3. 観察からデザインパターンを作り、観察する3日間のワークショップで、
  デザインパターンの具体的な活用方法を検討

▼デザインパターンとは
 デザインパターンとは、建築家のクリストファー・アレグザンダーが提唱した
 「利用者参加による建築のための6つの原理」のうちの一つの原理。

 パターンの原理とは、「すべての設計と建設は、
 正式に採択されたパターンと呼ばれる計画原理の集合によって指導されること」と
 解説されている。

▼デザインパターンと人間中心設計を比較してみると。

 ・利用者参加による建築のための6つの原理
  (1)有機的秩序の原理
  (2)参加の原理
  (3)斬新的成長の原理
  (4)パターンの原理
  (5)診断の原理
  (6)調整の原理

 ・人間中心設計の6原則
  (1)事業目標の設定
  (2)ユーザーの理解
  (3)異分野の専門家によるチーム
  (4)ユーザーが体験するすべての体験をデザインの対象とする。
  (5)ユーザーによる評価
  (6)継続的なユーザー観察

▼デザインパターンのワークショップ事例
 ・課題は「デザインパターンのテーマを決め」と「そのテーマのデザインパターンを発表する」
 ・最初にデザインパターンの紹介
 ・千葉工大の院生2名+コンセントの社員1名=3名のチーム、全部で6チームが、
  各チームに別れて、2時間で課題を推進する
 ・各チームとも、テーマ選定に時間がかかり、
  肝心なデザインパターンの検討にあまり時間がない。
 ・最後に、各チームの発表を実施。

 「自己紹介のパターン」「恋に落ちるパターン」を作成。
  ※インタビューを通してパターンを見つける。

▼恋に落ちるパターン
 「恋に落ちる前」、「恋に落ちる時」と「アプローチ期間」という、
  各ステップに分けてそれぞれの行動パターンを、押田君の苦い体験より、まとめている。

▼デザインパターンのワークショップの概要
 2泊3日の合宿
 
 参加者のヒアリングと御宿のフィールドワークからパターンを作成。

 ・1日目はうれしいパターンを作成し、
 ・2日目はそれを利用して、自分の作品をブラッシュアップした。

■うれしいデザインパターン作成のために観察と価値分析
 価値を分析するために、本質的価値分析法(KA法)を使用した。

▼本質的価値分析法(KA法)
 インタビューや観察から、行為の目的を推測して、
 なぜその行為が行われたか本質的価値を抽出する方法

▼KA法の分析とは
 インタビューや観察の事象より、カードにより、
 「ユーザーの心の声」「行為の背景にある生活の価値」を抽出する方法
 
 ※KA法は、紀文食品の浅田和実氏が新商品開発のために開発した定性情報分析法

▼KA法にスケッチを加えた手法の活用
 観察やインタビューの出来事を、体験的に伝えるためにKA法にシーンスケッチを加えた。

 ・「出来事(行為)」は、どのような事象が起きたのかを記述する。
  例えば、「愛想のない中華料理店のおばさんが、
  最後にデザートをおまけでだしてくれて、びっくり。」

 ・「スケッチ」は、出来事がどのような状況でおきたのか、
   体験的に分かりやすくするためにシーンスケッチを記述する。

 ・「心の声」は出来事の状況を考慮して、その時にユーザーがどのように感じたか記述する。
   例えば「意外なことがうれしい」ことである。

 ・「価値」は出来事と、心の声より、ユーザーの価値を抽出する。
   価値は「動詞+価値」で記述する。例えば、「びっくりするほどうれしい価値」。

▼うれしいデザインパターンのテンプレート
 ・井庭研究室による「学習パターン」を活用した。
 ・タイトル、イラスト、問題点と解決策という4つの要素を埋めることで、
  うれしいパターンを作る。
 ・タイトルは、うれしいパターンなので「×××でうれしい」と記載。
 ・イラストは、うれしい体験のシーンを描く
 ・問題点は「うれしいことが出来ない問題点」を記載
 ・解決策は「どのようにうれしいことが達成できるか」を記述

▼うれしいデザインパターンの活用
 課題2 提案したデザインパターンを活用して、自分の作品のアイデア展開と、
 ペーパープロトタイピング提案。

▼ペーパープロトタイピング
 御宿の街を駆け回り、段ボールを集めて、
 プロトタイプを作成した。

▼うれしいパターンの活用
 作品の改良
 展示方法の工夫

▼ワークショップのドキュメンテーション
 ドキュメンテーションチームが、ワークショップの内容を記録・分析し、
 冊子にまとめた。
  

「高齢ユーザーを対象としたモバイル機器の使いやすさ改善に適したユーザー調査手法の提案」

上田 香織氏(千葉工業大学)
R9140241


山崎先生のお弟子さん?の上田さんからは、
高齢者ユーザー調査手法の発表がありました、

常磐大学の伊東先生から結構厳しいツッコミがありましたが、
専門家の方に直接意見をいただけるのは、
プレッシャーも大きいですが、かなりのチャンスだと思います。


「観光サービスデザインにおけるエスノグラフィーと ペルソナ手法の有効性の検証」

日高 洋祐氏(慶應義塾大学)
R9140255


慶應義塾大学の日高さんからは、
伊東市での観光サービスデザインの実例の発表。

伊東市の旅館が減少していくなかで、
エスノグラフィー調査により、
仮説モデルを形成、実践、評価するため、
「人はどうやって動かされるのか?」という視点から、
「移動モデル」を考えようとして、
期待値論を利用したそうです。

 期待理論(Vroom VH(1964))  
 http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/expectancy_theory.html

 移動のモチベーションの強さ → 魅力+実現性

 例:オーロラ → 実現性がむずかしい。
   パンダ→魅力はオーロラ以下かもしれないが、実現性がある。

         ↓

  期待値論×エスノグラフィーにより、
 「移動促進モデル」を作成。

■期待値論×エスノグラフィー

 ▼魅力創出フェーズ
  面白そうとは思われる
  ・利用者観察1
  ・グループインタビュー
   →魅力整理設計図

 ▼実現性付加フェーズ
  面白そうで、行きたいと思われる。
  ・利用者観察2
  ・グループインタビュー2
   →ペルソナシート作成

 ▼提供フェーズ
  情報提供の仕組みが完成している。
  ・体験サービス作り
  ・情報作り
   →WEBサイト


ポスター紹介セッション

■「協働によるデザイン案検討における ペーパーホワイトボードプロトタイピングに関する検討」
  白澤 洋一氏(hcdvalue)
R9140233

R9140367

R9140412


■「文章理解に及ぼすメディアの影響?ブックリーダーと書籍」
  柏崎 祐希氏(常磐大学)
R9140409

R9140373

R9140374


■「教材内容の検索に及ぼすメディアの影響:ブックリーダーを書籍」
  荻沼 和図氏(常磐大学)
R9140370


■「UX白書の翻訳と概要」
  佐々木 将之氏(hcdvalue)
R9140395

R9140415

R9140416


■「食品製造会社による災害後の支援活動に関する提案」
■「女性向け防災用品の企画・提案」
  飯塚 重善氏(神奈川大学)
R9140389

R9140390

R9140413

R9140393


■「次世代の航空管制卓の提案」
  平子 元氏(千葉工業大学)

R9140363


■「電車通学時間を利用して読書習慣を身につけるデザインの提案」
  増澤 崇氏(産業技術大学大学院)
R9140400

R9140424

R9140428

R9140431

R9140433


産業技術大学院大学で、UX部なる活動をしている増澤君たちは、
「フォトエッセイ」、「インタビュー」→「KA法
」→「シナリオ」→「デザイン案」というアプローチで
アイデアを考えた事例を発表していました。
これはhcdvalueとかでも導入しているアプローチなので、
納得感がありました。非常に注目も集めていて、奨励賞を受賞していました。

ちょっと気になったのは、KA法からのアイデア発想で、
発想の仕方を考えないと、
平凡なアイデアになってしまうこともあるので、
今後検討になる箇所かと思いました。
R9140443

 

参考

 Something I think everyday: 2011年度HCD研究発表会
 http://uedakaori.blogspot.com/2011/12/2011hcd.html




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